【体験談】水筒の名前
水筒の名前
息子は公立小学校の支援級に在籍している。現在小学2年生である。
息子がある日突然、水筒に名前を付けた。その名も「えんどうさん」。
「遠藤さん」なのか、「えんどう豆」から来ているのかもよくわからない。
家族は面食らい、本人に理由を聞いてみたものの、回答は得られなかった。
とりあえず、我が家の水筒は、ある日突然「えんどうさん」と命名された。
その日以来、外出時には「えんどうさん持った?」、家の中でも「えんどうさん、どこ?」という会話が当たり前のように交わされている。
ちなみに、「えんどうさん」の容量は800ml。小学校入学にあたり、買い足された水筒である。
それ以前に使用していた290mlの水筒も、家の中では現役で活躍中である。
こちらは、「えんどうさん」よりサイズが小さいためか、息子が「えんどうさんの弟」と呼び始めた。
「えんどうさんの弟」なら、そちらもおそらく「えんどうさん」なのでは…と思ったり、経歴的には小さい水筒のほうが先輩であるため、むしろ「兄」ではないか…と思ったりしているが、息子は当然気にしていない。
今では、「えんどうさん」「えんどうさんの弟」がすっかり定着している。
心なしか、名無しの頃より、息子が水筒を大事に取り扱っているような気もする。
新しい家族現る
我が家ですっかり定着した、水筒の「えんどうさん」と「えんどうさんの弟」だが、つい先日、新たな関係が判明した。
なんと、「えんどうさん」と「えんどうさんの弟」には、「えんどうさんのお母さん」がいるというのだ。
水筒兄弟の「お母さん」の登場にも驚いたが、息子によると、その「お母さん」は、アリオ橋本で働いているという。
突如降って湧いた新情報に、またもや家族は面食らった。
とりあえず詳細を息子に尋ねてみたものの、いつも通り回答は得られなかった。
ところが後日、意外な出来事が、真相解明の糸口となったのである。
3連休前日の金曜日夕方に、小学校から電話がかかってきた。
今年の担任の先生は、「マイナス方面に何か起きたとき」限定で電話連絡をくれるため、スマホの画面に「小学校」と表示された時点で、気分は憂鬱である。
今回は、「息子さんが学校に水筒を忘れて帰った」という連絡であった。
電話を受けた時点で県外にいたため、これから学校に取りに行くこともできない。
連休明けの火曜日に水筒を回収するので、そのまま学校で保管してもらうよう頼み、通話を終えた。ちなみに息子は放デイ(放課後等デイサービス)満喫中である。
放デイから戻った息子と、学校に置き去りにされた水筒について話しながら、連休中に持ち歩く水筒はどうしようかと考えていた。
児童発達支援センターに通っていた頃に、一回り小さい水筒を使っていたことを思い出し、キッチンにしまっていたその水筒を引っ張り出してみた。
と、そのとき、水筒を見た息子が「えんどうさんのお母さんだ」と言ったのだ。
「えっ、えんどうさんのお母さん!?これが!?」
思ってもみなかった息子の一言に、母は混乱した。混乱しながらも、(あっ、確かにこの水筒はアリオで販売されているのを以前見たような気がする…。だからアリオで働いてるって言ってたのか!?)と、これまでの息子の発言が少し腑に落ちた瞬間でもあった。
水筒一家
水筒一家を整理すると、
- 「えんどうさん」容量800ml 3代目(現役・学校で利用)
- 「えんどうさんの弟」容量290ml 初代(現役・自宅で利用)
- 「えんどうさんのお母さん」容量500ml 2代目(引退済・たまに復帰要請あり)
ということになる。
「えんどうさんのお母さん」について、息子が話した当初ピンとこなかったのは、「お母さん」は「えんどうさん」より大きいはずだ、という思い込みによるものだろう。
そういえば、人間でも動物でも、子供より親が大きいとは限らない。
息子だって、あと10年もしたら自分よりずっと大きくなっているかもしれない。
それでも、今、目の前でちょこまかと動き回る息子を見て、「子供は小さいもの」とつい思いたくなってしまう。
そして、「えんどうさんのお母さん」がアリオで働いていると息子に聞いたとき、もはや水筒ではない何かを想像してしまい、これは見当もつかないな…と予想をあきらめてしまったが、息子はきちんと「水筒の家族は水筒」ととらえていたのだ。
次に息子から水筒の家族を新しく紹介されることがあれば、あきらめずに正体を探ってみようと思う。
小学2年生の息子と夫の3人家族です。
息子には発達障害(自閉症)・知的障害・睡眠障害があります。
3歩歩かずとも何でも忘れがちです。
生き物とミニチュアが好きです。