家の環境の工夫 ~まいこ家の場合①~
こんにちは。ぴあっとをはじめた人まいこです。
2023/9/9にNPO法人ぴあっと主催で『さがみはら発達支援発表会~見てみよう!関わりの工夫~』を開催し、家庭の工夫として私が発表させていただきました。
今回はその時発表した「我が家の事件簿」から内容の一部をご紹介させていただきます。
私に起こったこと
2023年現在、息子は特別支援学校の小学部2年生です。
息子が2才4か月の時に、自閉スペクトラム症の診断を受けました。自閉症の特性がとても濃く、重度の知的障害があり、現在も言葉がありません。
食べることとお散歩が大好きで、笑顔がかわいいマイペースな息子です。
成長と共に
息子は運動発達がゆるやかだったため、2才手前くらいで歩けるようになりました。
そんな成長を喜んでいたのですが、息子が自由に動けるようになると、家の中で同じ行動を1日中繰り返すことが出てきました。
中にはとても危険な行動もあったため、息子と家族の安全を守らなければという緊張感ある子育てが始まりました。
昼間は自分1人で子どもを見ていたため、家事をしたり、娘を見ている間は、どうしても息子から目を離してしまいます。
そんな時に息子の身に危険なことが起こっていたこともあり、「自分が見ていなかったせいだ」と自分を責めてしまうことが何度もありました。
そして息子の行動は、私だけではなく家族の生活にも支障が出てしまうことがありました。
息子の家庭内での子育てでは、以下のような大変さがありました。
- 同じ行動を1日に何十回も繰り返す
- 長期間に渡って繰り返す
- 言葉で注意しても伝わらない
- ベビー用の対策品では通用しない
- 家族の生活との折り合いが難しい
当時、息子に言葉での言い聞かせや、繰り返し教えることは効果があるようには思えませんでした。
しかし気になるものが見えなくなったり、物理的にできないことがわかると、 すんなりあきらめたり、やらなくなったりすることがわかってきました。
今は本人に我慢や理解してもらうことは難しそう
それならまずは家の環境を工夫してみよう
そう思い取り組んでみた我が家の工夫をご紹介させていただきます。
電気スイッチをみると押さずにはいられない
困りごと
息子は電気のスイッチが大好きでした。目に入ると押さずにはいられないことも多く、それが集団活動時だったり、夜だったりすると周りへの影響もあり、家族は困っていました。それが原因でお友達とトラブルになってしまうこともありました。
あまりに頻度が多かったため、スイッチを押させないようにするには、常に息子に貼り付いていなければならず、息子と戦いのようになってしまうことが私自身とてもストレスでした。
- いつでも電気を消してしまう
- 夜、家中を真っ暗にしてしまう
- 娘が宿題をやっている時にも消してしまう
- 1日何十回も繰り返す
環境の工夫
息子の行動をやめさせることは、今は難しいと思い、スイッチの方をどうにかできないかと考えました。
スイッチカバーのフチに少し厚みのある板を貼った上から板を貼り付けて、スイッチを物理的に隠して押せなくしました。
そして全ての場所ではなく、リビングや娘が宿題をやるスペースなど、消されると生活に支障が出る場所のみに板を取付けました。
当然家族も押すことができないので、家族はリモコンで操作しました。一部、リモコン付きの照明器具じゃない所は取り替えました。本人のスイッチを押す要求を満たすために、廊下や階段など生活にあまり支障のない場所はあえてそのままにして押してよいとしました。
本人への対応
息子はスイッチを押すことと同じくらい暗い場所が好きでした。
部屋を真っ暗にして大爆笑をしていることも多かったため、スイッチを押せなくしたことで、できなくなってしまった真っ暗な空間を楽しめる時間や場所を作ってみることにしました。
息子の要求があった際は、一定時間電気を消して、暗やみ遊びをするということにしました。その間に母はヒーリング音楽を流してリラックスしていました。
また、我が家ルールで「押入れに入ってOK!」としました。
暗い&狭い空間が大好きな息子は、今でも時々押入れに入っています。子どもたちが入れるようになんとか布団をどけました。(これがなかなか大変)
押入れの上段に入るため、頑張って登り付き、なかなか良い運動にもなっていました。
登れる所があると登ってしまう
困りごと
息子は登れる所を見つけると、テーブル、棚、カウンター、ストーブどこでも登ってしまいました。
ある日、2Fの出窓にも物をつたって登っていたことがあり、窓を開けて足をブラブラして座っていたのを見つけた時は、血の気が引きました。
環境の工夫
環境の工夫としてやったことです。
- つたっていけないよう、家具の配置を工夫
- 地震対策グッズやL字金具で家具を固定
- どうしても登ってほしくない所には猫よけのトゲトゲを敷く
こちらのトゲトゲは痛いので、こすってしまわないよう、フチまでは置かないようにしていました。
本人への対応
ここは登っていいよという場所を作りました。
耐荷重80kgのカラーボックスを3つ購入し、ビスなどで固定して階段のようにしました。
登る時にケガをしないようにクッションマットを敷き、ホームセンターで取っ手を購入し設置しました。
同時におもちゃ入れにもなっています。(あくまで自己責任でやっています!)
お風呂場での困りごと
困りごと
お風呂場は空間が狭いため、息子の手が届く範囲に色々な物があります。そのことにより困りごとが起こりました。
- 給湯器のおいだきボタンと呼び出しボタン連打
- お風呂場の窓を何度も開けてしまう
- シャンプーや洗剤を浴槽に入れてしまう
特においだきボタンは、娘が浴槽に入っている時に押してしまうため、熱さが苦手な娘が毎回「熱いっ!熱いっ!」と叫んでおり、何とかしなければと思っていました。
環境の工夫
給湯器
100均のプラスチックの入れ物を購入し、裏側をカットして給湯器にかぶせて引き出し用ロックを取付けました。
当時はまだロックを外せなかったので、こちらで一旦は押せなくなりました。
お風呂場の窓
お風呂場の窓はルーバー窓になっていたため、息子が落ちてしまうような心配はありませんでしたが、息子は大きい声を出すことも多く、お隣さんのおうちとの距離も近かったため、入っている間は開けないでほしいと思いました。
ハンドルを回して開けるタイプだったので、ハンドルを取り外しました。(取っ手などはネジを取ると外れるようになっていることが多いです) うちのお風呂場は24時間換気になっていたので換気などは問題ありませんでした。
シャンプーや洗剤
息子がシャンプーや洗剤を浴槽に入れてしまうのは、きまって私が先にあがって洗面所にいる時だったので、普段からシャンプーなどを取っ手付きのカゴに入れておき、私がお風呂をあがる際に、備え付けの物干し竿にぶらさげてからあがるという風に対策をしていました。(落ちてこないよう、しっかりとしたカゴとひっかけるパーツが必要です)
まとめ
現在8歳の息子。
繰り返す行動は今も生活全般に見られ、種類や場所を変えながら続いています。
しかし少しずつ言葉の理解が育ってきて、言ったらやめてくれることが増えてきています。
そして最近ではこの繰り返しや定着が、生活リズムや暮らしの中で良い形で発揮されることも出てきました。これから息子の強みになっていく部分でもあるのかなと思っています。
お子さんにすぐに変わってもらうのは難しいことも多いですが、環境は変えることができます。(やるぞ!となるまでが大変ですが)
環境の工夫をして親子ともに楽になったらよいですよね。
「我が家の事件簿」キッチンや玄関編はまたいつかお届けしたいと思います。
ぴあっとをはじめた人。
小学3年生の息子、小学6年生の娘を持つ2児の母。息子は重度の知的障害があり、自閉症と診断されています。娘は感覚の過敏さや独特な感性を持っています。
そんな子どもたちとの日々の生活で感じたことや、出来事を発信していきます。