五感で楽しみ、リラックスできる「スヌーズレン」とは?

皆さんこんにちは。ぴあっとをはじめた人、まいこです。
皆さんは、「スヌーズレン」という言葉を聞いたことはありますか?最近少しずつ耳にする機会が増えてきたように感じます。
今回は我が家のスヌーズレンとの出会いから、これまでのこと、そしてスヌーズレンルームの設置やスヌーズレン用品の販売等を行っている「コス・インターナショナル」様への取材記事をお届けします。
スヌーズレンとの出会い
私がスヌーズレンの存在を知ったのは、現在特別支援学校の小学部3年生である息子のリハビリ先の施設でした。
息子が年長さんくらいだったと記憶しています。いつも通りリハビリを受けて帰ろうとすると、そちらの施設でイベントで設置したスペースを見せてくれるとのことで行ってみると、うす暗い空間に、水が入った長細い透明の筒の中に泡がブクブクと登っていく、なんとも幻想的なものがいくつか並んでいました。(下記写真はイメージです)

息子は小さい頃から暗い部屋で光るものを見たりするのが好きだったので、これは息子にぴったりなものを見つけたと思いました。
後にそれが「スヌーズレン」というものだと知り、インターネットで調べてみると、息子がいかにも好きそうな空間やグッズが色々出てきました。
息子は、興味の幅がとても狭く、なかなか気に入った遊びやおもちゃを見つけるのが難しかったので、そのヒントが見つかったと思い、とても嬉しくなったのを覚えています。
また息子は、家では押入れやクローゼットに入って真っ暗な空間を楽しんだり、療育先でも“ひかり遊び”といって部屋を暗くして、光るおもちゃで遊んだり、音楽を流してリラックスするという時間が好きでした。
以前みかたの記事にも書きましたが、息子が部屋の電気を消したがるので、要求があった時には部屋を暗くして暗やみ遊びを楽しんでいましたが、それも「スヌーズレン」のようなものだったのかなと思いました。

スヌーズレン・ルームを体験して
それから時は流れ、今でも部屋を暗くしたり、押入れにお気に入りのひかりグッズを持ち込んで、こもったりしている息子です。
そしてぴあっとで出会った方から、偶然「スヌーズレン体験会」のお知らせをいただき、家族で参加してきました。
主催はことばの相談室Hopal様。
そのお部屋は、うす暗く、アクリル筒の中のゆらめく泡の動きを見たり、柔らかいクッションやテント、また光るイスや押すと反応するスイッチ、触り心地のいいおもちゃなどがたくさん用意されていました。
息子はこの場所がとても気に入り、ブルブルのおもちゃや、音のなるスイッチを持ちながら、ゴロゴロしたり、光を眺めたりしながら、体験時間50分スヌーズレン・ルームで楽しむことができました。
そしてこちらのスヌーズレン・ルームの設置を行っていたのがコス・インターナショナル様です。



有限会社コス・インターナショナル様について

東京都港区にあります㈲コス・インターナショナル様は、障がいのある方や高齢の方用の福祉機器・用品を海外から直接輸入・販売しており、スヌーズレン用品に関しては、日本で初めて本格的に輸入を開始した会社様です。
1994年に日本にスヌーズレンを紹介して以来、全国の重度心身障がい児(者) 施設、療育施設、特別支援学校、病院等にて、数千箇所以上のスヌーズレン・ルーム等の設置を手掛けてきたそうです。
コス・インターナショナル代表取締役の小菅様にお話を伺ってきました。

有限会社コス・インターナショナル
代表取締役 小菅秀泰様
・International Snoezelen Association-mse(ISNA-mse / 国際スヌーズレン協会)役員
・日本スヌーズレン協会 理事 / チーフ・スーパーバイザー
以下は小菅様のお話とコス・インターナショナル様のHPを参考にしています。
スヌーズレンとは

スヌーズレンは、1970年代後半にオランダの重度知的障がい者施設「ハルテンベルグセンター」で生まれた、一つの考え方、理念です。
スヌーズレンという言葉は、オランダ語の「スヌッフェレン(snuffelen)」と「ドーゼレン(doezelen)」の2つの言葉を組み合わせた造語です。
「スヌッフェレン」は「くんくんと匂いを嗅ぐ」という意味で、その動作から何かを探索するという意味合いがあり、スヌーズレンの「動」を表しています。一方、「ドーゼレン」は「うとうとする、まどろむ」という意味で、ゆったりとくつろぐ様子を表しており、スヌーズレンの「静」を表現しています。
スヌーズレンという言葉は、「自由に活動したり、ゆったりと過ごしたりする」様子を表しています。
スヌーズレン・ルームでは、照明や音楽、触覚、香りなど自分にとって心地よい刺激の中で過ごします。
現在では、知的障がいのある方だけでなく、発達障がいや精神障がいのある方、高齢者や認知症の方々へも広まり、対象者が限定されることなく、ますます広がっています。
スポーツ観戦の場での導入
2019年にサッカースポーツの観戦の場でも、スヌーズレンルーム(センサリールーム)の設置が始まり、その後女子バスケやアメフト、ラグビーの試合会場などでも設置が広がってきています。
スポーツ観戦に設置するスヌーズレンルームでは、感覚過敏のある方が人混みや大音量を避けながら、スポーツ観戦が楽しめるように配慮されており、ガラス張りで音を遮断し、薄暗い環境でリラックスできるような部屋になっています。
観戦の間にリフレッシュしながら再び観戦を楽しめます。

画像提供:㈲コス・インターナショナル様
今後、ショッピングセンターや空港などでもスヌーズレンの導入が進めば、家族が気軽に外出できる環境が整ってくるのかなと考えています。家族が買い物中に子どもが遊べる空間としても応用ができるのではないかなと思います。
感覚に働きかけることの重要性
発達障がいや感覚過敏のある方は、言葉や態度ではなく感覚を通じて多くの情報を受け取る傾向があります。
感覚受容が優れているため、特定の刺激が不足している場合に行動に表れることが多いのです。
例えば落ち着かない、飛び跳ねる、物を叩くといった行動の背景には、「前庭覚刺激」や「固有受容覚刺激」など、感覚への刺激不足が関係していることが多いです。なので、この刺激を満たしてあげると落ち着きを取り戻すケースがあります。
表面的には「困った行動」と見えるものも、実は感覚的なニーズの表れである場合が多いので、そのニーズを満たしてあげると、本人にとってプラスになり、行動の改善が見られることがあります。
そのため感覚を通じてのサポートが、発達障がいや感覚過敏のある方にとってはとても大切になってきます。そういったサポートを取り入れることで、安心感や行動の安定につながっていきます。
感覚に働きかけることの重要性を、周りのご家族や支援者さんが理解することがとても大切だと思っています。
スヌーズレンでは、感覚の受容を満たしてくれるような要素がたくさんあります。また大がかりなものでなくても、触っていて落ち着けるグッズを置いたり、リラックスできる空間をおうちの中に作ってあげることもいいと思います。
ぜひお子さんと一緒に感覚を使った遊びや空間を楽しんでみてください。


ぴあっとをはじめた人。
小学3年生の息子、小学6年生の娘を持つ2児の母。息子は重度の知的障害があり、自閉症と診断されています。娘は感覚の過敏さや独特な感性を持っています。
そんな子どもたちとの日々の生活で感じたことや、出来事を発信していきます。