幼児期の療育 相模原市の児童発達支援①
相模原市緑区の児童発達支援センターいっぽの南湖と言います。私は、いっぽ開設当初から所長をしております。早いもので、今年で7年目を迎えました。
今回は、幼児期の療育として機能する、福祉サービスの『児童発達支援』について、その変遷と相模原市の現状、そして児童発達支援センターについてお話ししたいと思います。
児童発達支援とは
児童発達支援事業は、未就学児を対象に療育(発達)支援を行うサービスです。
児童発達支援事業では、療育が必要なお子さんを対象に、日常生活の基本的な動作や、集団生活への適応のサポートを行います。
ご本人への支援の他に、ご家族への支援や、保育所・幼稚園などと連携を図りながら支援を行うこともあります。
また児童発達支援のサービスを提供している事業所では、それぞれに療育理念や支援の特色があります。
児童発達支援の変遷
今から二十数年前までは、こうした福祉サービスはありませんでした。当時は、「心身障害児通園事業」という括りで、「障害がある子はここの施設に通ってください」と、決まった療育施設に通うかたちでした。
その後、福祉制度が大きく変わり、それまでの「心身障害児通園事業」は制度上、「児童デイサービス」という福祉サービスになりました。加えて、その制度で小学生以上の学齢児も療育を受けられるようになりました。
さらに平成24年の制度改正では、児童デイサービスが未就学児を対象とする児童発達支援と、学齢児が対象の放課後等デイサービスに分かれました。
かつての「心身障害児通園施設」は「児童発達支援センター」に変わり、またセンターよりも規模の小さいところは「児童発達支援事業所」としてサービスを提供するようになりました。
「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」
児童発達支援を行う場所には「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」があります。それぞれどんな違いがあるのでしょうか?
児童発達支援センターは、各自治体に1か所以上の設置が義務付けられています。定員は少なくとも30名以上で、その地域の中核施設に位置付けられます。相談や申し込みは相模原市の場合、各区の子育て支援センター(療育相談班)を通じて行います。
クラスの形態も様々で、センターを主に毎日通う子もいれば、保育園や幼稚園と併用している子もいます。送迎サービスや自前の給食での食事支援も義務付けられています。
一方、児童発達支援事業所の多くは定員が10名ほどで、支援形態も個別療育から少人数でのグループ療育まで様々です。こちらは各事業所ごとに相談や申し込みなどを行います。
児童発達支援事業所が、ここ数年で相模原市内にもたくさんできました。
ここからは相模原市の児童発達支援センターについて詳しく見ていきます。
相模原市の児童発達支援センター
相模原市の療育は、長い間、市立陽光園が担ってきました。
福祉サービスを必要とする児童の数が大幅に増える中で、利用者のニーズにしっかり応えていくため、相模原市では平成26年には南区に、28年には中央区に、そして29年には緑区に、それぞれ民間の社会福祉法人によって児童発達支援センターが開設されました。
陽光園はそれまでの通園施設(第一陽光園)を廃止して、市内の療育支援、発達障害支援を総括する機関となりました。
お子さんの発達に関する初期の相談は各区の子育て支援センターが担い、保護者の希望を聞き取り、お子さんの発達評価をして、個々のお子さんに必要な支援機関に繋いでいく、そうした市内のネットワークが構築されました。
医療型児童発達支援センターひだまり
児童発達支援センターが各区に設置されましたが、手足や体幹等に不自由さがあるお子さんが通う「医療型児童発達支援センターひだまり」は、市内全域を対象に現在も陽光園に設置されています。
名称 | 陽光園(相模原市立療育センター) |
所在地 | 〒252-0226 相模原市中央区陽光台3-19-2 |
電話番号 | 042-756-8410 (代表) 042-756-8419 (医療型児童発達支援センターひだまり) |
開館時間 | 午前8時30分~午後5時まで |
休館日 | 土曜日、日曜日、祝日 年末年始(12月29日から1月3日まで) |
交通アクセス | JR相模原駅からバス、「光が丘小学校前」下車徒歩5分 小田急線相模大野駅からバス、「光が丘大通」下車徒歩5分 |
【緑区】児童発達支援センターいっぽ
【特色】
- 自立に向けた支援をします。
- TEACCHプログラムの考えに基づいた支援をします。
- 保護者の方とのコミュニケーションを大切にします。
- 地域との連携を大切にします。
所在地 | 〒252-0137 相模原市緑区二本松2-56-4 |
電話番号 | 042-851-2860 |
開所時間 | 午前8時30分~午後5時30分 |
運営主体 | 社会福祉法人 県央福祉会 |
提供サービス | 児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、障害児相談支援、計画相談支援 |
所在地 | 〒252-0137 相模原市緑区二本松2-56-4 |
電話番号 | 042-851-2860 |
開所時間 | 午前8時30分~午後5時30分 |
運営主体 | 社会福祉法人 県央福祉会 |
提供サービス | 児童発達支援、放課後等デイサービス、 保育所等訪問支援、障害児相談支援、 計画相談支援 |
【中央区】児童発達支援センター青い鳥
【特色】
- 日常生活の中で、人との関わりを豊かにしていきます。
- 子どもを理解し、特性に合わせた環境を整えることで、心の安定と成長を促します。
- スモールステップで日々の療育活動に取り組みながら、自己肯定感を育んでいきます。
所在地 | 〒252-0244 相模原市中央区田名4224-1 |
電話番号 | 042-713-3838 |
開所時間 | 午前8時30分~午後5時30分 |
運営主体 | 社会福祉法人 相模福祉村 |
提供サービス | 児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、日中短期入所、 障害児相談支援、計画相談支援 |
所在地 | 〒252-0244 相模原市中央区田名4224-1 |
電話番号 | 042-713-3838 |
開所時間 | 午前8時30分~午後5時30分 |
運営主体 | 社会福祉法人 相模福祉村 |
提供サービス | 児童発達支援、放課後等デイサービス、 保育所等訪問支援、日中短期入所、 障害児相談支援、計画相談支援 |
【南区】児童発達支援センター バンビ
【特色】
- 児童一人ひとりに対する丁寧な「根拠」ある療育を行います。
- 相模原療育園の医療スタッフとの連携による療育・医療交流モデルの構築を目指しています。
所在地 | 〒252-0325 相模原市南区新磯野308 |
電話番号 | 042-746-7651 |
開所時間 | 午前8時30分~午後5時 |
運営主体 | 社会福祉法人 慈恵療育会 |
提供サービス | 児童発達支援、保育所等訪問支援、 障害児相談支援、計画相談支援(相談支援事業所アウル) |
所在地 | 〒252-0325 相模原市南区新磯野308 |
電話番号 | 042-746-7651 |
開所時間 | 午前8時30分~午後5時 |
運営主体 | 社会福祉法人 慈恵療育会 |
提供サービス | 児童発達支援、保育所等訪問支援、 障害児相談支援、計画相談支援(相談支援事業所アウル) |
児童発達支援センターへ通うには
児童発達支援センターへの入園、通所するための相談や手続き等は、相模原市各区の子育て支援センターに設置されている療育相談班が窓口になっています。児童発達支援センターでは直接の申込や受付けは行っていません。
また入園、通所する際に自治体が発行する通所受給者証が必要になりますので、そちらの取得やお手続きも合わせて必要となります。
児童発達支援センター通所に関するご相談、手続き窓口
お住まいの地域ごとに窓口が分かれています
- 中央子育て支援センター 療育相談班
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住所:〒252-0226 中央区陽光台3-19-2
電話:042-756-8424 - 南子育て支援センター 療育相談班
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住所:〒252-0303 南区相模大野6-22-1 南保健福祉センター2階
電話:042-701-7727 - 緑子育て支援センター 療育相談班
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住所:〒252-5177 緑区西橋本5-3-21 緑区合同庁舎3階
電話:042-775-1760 - 緑子育て支援センター 津久井療育相談室
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住所:〒252-5172 緑区中野613-2 津久井保健センター1階
電話:042-780-1420 - 緑子育て支援センター 相模湖療育相談室
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住所:〒252-5162 緑区与瀬896 相模湖総合事務所2階
電話:042-684-3737 ファクス:042-684-3618 - 緑子育て支援センター 藤野療育相談室
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住所:〒252-5152 緑区小渕2000 藤野総合事務所2階
電話:042-687-5515
最後に
幼児期の発達支援はその子の生活の基礎を育むためにとても重要です。
「誰もがその人に必要な支援、教育を受け、誰もがその人らしく暮らせる社会」に向けて、その取り組みは幼児期から始まっています。
子どもの発達を支援し(発達支援)、それを家族と共同で進めていき(家族支援)、さらには地域と連携してその子どもの発達を支えていく(地域支援)、この3つが児童発達支援の柱となります。
各事業所で取り組まれている発達支援が、ご家族、園、学校、地域にまで広がり、たくさんの応援団で子どもたちを支えていく、そんな社会の実現を願っています。
児童発達支援センターいっぽ所長。
臨床心理士、公認心理師。
妻と大学生の息子の3人家族です。小1から高3まで甲子園を目指していた(でも夢は叶わなかった…)、バリバリ体育会系の野球少年でした。
大学を出てからは、自閉症や発達障がいのお子さんの療育にずっと携わっています。昔関わったお子さんが大きくなって、その成長した姿を見ると、この仕事にとてもやりがいを感じます。 好きな言葉は『酒は百薬の長』