【体験談】2度目の運動会

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2度目の運動会

息子にとって「小学校で2度目の運動会」がやってきた。

息子は現在小学2年生で支援級に在籍している。

運動会では通常級のお子さんと一緒に参加することになる。

今年の2年生の種目は「徒競走」と「ダンス」である。

この徒競走に参加することを、息子はとにかく嫌がっていた。

元々、学校でも放デイ(放課後等デイサービス)でも、勝ち負けのある遊びに参加したがらないことが多いと先生方から聞いていた。

徒競走も勝ち負けがはっきりとわかるので、嫌がるのかもしれない。

なお、後に本人から聞いてわかったことだが、勝ち負けの件だけでなく、「走ると転ぶ」という心配も、徒競走に参加したくない要因だったらしい。

これについては、登校時に「走ると転んで危ないから、ゆっくり歩いて行こう」と自分が何度も声を掛けてきたことを、ふと思い出した。

「自閉症の人は言葉を文字通りに受け取りやすい」とよく聞くが、こういうことも起きるのか…と母は頭を抱えた。

練習中から、徒競走を嫌がっている様子がひしひしと伝わっていたのだろう。

先生から、運動会当日の入場について、連絡があった。
  
通常、各競技の入場時は、子供たちだけでスタート地点まで移動するが、もしも息子が入場を渋った場合、「(先生が)一緒について入場しましょうか?」との確認だった。

息子の不安を少しでも軽減し、競技に参加しやすくなるように、と配慮いただいた形である。

先生についていただけるなら、こちらとしては願ったり叶ったりであるため、「ぜひよろしくお願いします」と伝えた。

いざ本番

さて、いざ本番である。

入場時、やはり息子は先生と手をつないで、スタート地点まで一緒に移動していた。

つまり、スムーズに入場できない状態、または「入場しない」とごねた、等の事態が考えられる。

早くも暗雲が立ち込めている。

競技自体は順調に進み、いよいよ6組目、息子の登場である。

位置について、よーい、ドン!!

最初は他の子供たちでよく見えなかったが、皆が順調に走り去った後、遥か遠く、スタート地点の息子が見えた。

他の子が全員ゴールした中で、息子はまだスタート付近にいる。

なんと、コースをてくてく歩いていたのだ。

運動会本番の様子

ちなみに、昨年、小学校初めての徒競走では、息子はなぜか最初から最後までスキップで参加していた。

周囲の保護者が「あの子、スキップしてるよ…!」とざわついていたが、本人は意外と楽しそうであった。

一緒に走った他の子たちは、とっくにゴールして、コースから移動しているため、息子のゴール時は周囲に誰もおらず、もはや独走して1位でゴールしたかのような写真が撮れてしまった。息子は何やら誇らしげだった。

当時の担任の先生も、「楽しく参加できてよかった!」と大変喜んでくださった。

そんな昨年の記憶をたどりながら、しばらく現実逃避していたが、その間も息子はずっと歩いたままである。

走る気配は微塵もない。周囲のざわつきも昨年以上である。

先生と手をつなぎながら、ひたすらコースを歩いている様子は、運動会ではなく、どう見てもお散歩だった。

(頑張れ頑張れっ、もうちょっと急げないかな~、スキップでもいいから頑張れ~!)

と、やきもきしながら見守った。

運動会中に、我が子に「スキップしてくれ!」と願うときが来ようとは、昨年は想像もつかなかった。 

親が結構な時間あれこれ考えてもなお、息子はゴールしていなかった。

ゴール付近まで来たものの、なぜかゴールを嫌がり、ゴールラインに向けて先生をぎゅうぎゅうと押していた

もはや何の競技なんだかさっぱりわからない。

とにもかくにも、なんとかゴールにたどりつき、息子の「1人徒歩競争(先生とともに)」はようやく幕を閉じた。

徒競走その後

2年生の徒競走が終わって、次々と競技が進む中で、予定よりかなり進行が遅れていることがわかった。

周囲の保護者から「なんか時間すごい押してるねー」という声が聞こえてくる度、(すみません、その原因のかなりの部分、たぶんうちです、すみません)と心の中で平謝りだった。

時間がかなり押してまでも、息子がゴールするのを待ってくださった先生方や皆さんに感謝したい。

また、少なくとも先生が一緒に出てくださらなければ、今年の徒競走で息子は、スタート地点に立つことすら難しかったはずである。

無理強いはしないながらも、競技に参加できる最善の方法を、最後まで諦めずに探ってくださった先生にも、再度感謝したい。

さて、来年の徒競走はどうなることやら。心配半分、期待半分である。

この記事を書いた人
ちえ

小学2年生の息子と夫の3人家族です。
息子には発達障害(自閉症)・知的障害・睡眠障害があります。
3歩歩かずとも何でも忘れがちです。
生き物とミニチュアが好きです。

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